第70回勉強会レポート-1:午前の部
2013年11月16日 於:江東区森下文化センター 第二研修室
DIGITABLE 2013 Excite と名付けられた今回の展示等勉強会の七周年を記念してのイベントで、会員の作品展示や、それぞれのテーマでのユニークな研究発表も展示された。
最終日の11 月16 日(土)は企業の協力も得て公開の記念勉強会が開かれ、“DIGITABLE ーこれからの写真フロー” をテーマに会員4 名による発表、及びメーカー企業による最新の技術セミナーも開催された。
(午前の部) 記念勉強会/DIGITABLE会員発表
・イギリス・デンマークの旅:済藤隆義会員
済藤氏は中学時代から写真に親しみ、特にフィルム時代から中判、大判カメラを使用したモノクロでのファインプリントの研究を続けてこられた。DIGITABLEには2009年度より参加、「デジタルのカラープリントは初心者」と仰りながらも以来 国内、国外各地での旅行記を含めた作品を披露してくださっている。今回は、ご夫婦でのイギリス・デンマークでの、ゆったり旅行記をスライドショー形式で発表。作品というよりは旅行記として、各地の初夏の風景・街角はもとより、人物や情景の爽やかな描写が勉強会の幕開けに相応しい。美しいステンドグラスや、花や植物に対する優しい視点が特徴的で、各地で仲睦まじそうなカップルの写真も印象的だった。 デジタルカメラでは気楽に記録を取りながらの撮影を楽しみ、作品用には6×7のカメラも併用したそうで、早速そちらの作品も見てみたい気がした…(後略)
・街で気になるもの:盛田真干子会員
盛田さんは一眼レフでの撮影を始められたのは比較的最近ということで、DIGITADBLEには2011年度より参加。 参加当初より、常に独自の視点でのユニークな発表を続けられ、DIGITADBLEのアート派の代表格である。 今回の発表は街角の風景に、様々なオブジェが重なりが印象的な作品群で、一見するとデジタル作業での合成かと思うばかりの完成度だが、「後加工の合成ではなく、多重露光を楽しみながら銀座を撮り歩いた…」とのことで、参加者からも驚きの声が上がっていた。 印象的な作品は、大胆な構図と色彩の組み合わせが絶妙で、作者のしっかりした構想力と豊かな感性ならではのものであろう。プリントでの発表を囲む参加者の輪、各自が食い入るように見入っていた。
・インクジェットプリントの色調再現性調査(概要):安藤 和会員
安藤氏はDIGITADBLEには2008年度より参加、以来 異国でのハイセンスな作品、や詳細なデータに基づいたプリントや色再現に関するさまざまな発表を続けている。
今回の発表は、フォトショップ上でHSB表示で作成したカラーチャートを、種々の設定条件でインクジェットプリンターでプリント後、得られたプリントチャートを測色して「色相(H )」、「彩度(S )」、「明度(B )」の変化を調べたもの。調査のポイントは
1. インクジェットプリンター4機種間、及び銀塩レーザープリンターとの差異
2. 画像調整ソフトに依る差異(Adobe PhotoshopCS6、市川ソフトラボSILKYPIX Pro5、NikonCapture NX2)
3. マッチング方法(レンダリングインテント)による差異(知覚的、相対的、絶対的) 4. 出力時の用紙、プリンタープロファイルに依る差異(エプソン設定、自製) 5. プリント用紙の差異(クリスピア、写真用紙(光沢)、写真用紙(絹目調)、フォトマット(顔料専用)) 6. プリント色調が設定色調から「ずれ」る原因について についてで、それぞれの観点から詳細な報告がなされた。 考察の全容はこの欄ではとても記載できないが、一例を挙げると1.0に関しては、『色相は4機種共、レッドとシアンはほぼ設定値に近いが、イエロー、グリーン、ブルー、マゼンタの4色相は何れも同じ方向に偏る。彩度については、4機種共、イエロー、グリーン、シアン、ブルーの4色は設定値より高くなり、低い設定彩度(50~75%)でも飽和することがあるので注意が必要…』などと、プリントに悩む者には思わず納得の内容で、極めて貴重で質の高い発表になった。参加者のうち希望者には詳細なデータCDが配られたが、DIGITABLEの会員には会員専用ページでこのデータを入手できるようになっている。 午後の部(第70回勉強会レポート-2)に続きます… ********************************************************
DIGITABLE写真技術勉強会(HOME) http://www.digitable.info
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